全国800万人のハッシーファンの皆さんこんにちは。吹田/摂津/千里丘で腰痛や肩こりでお困りの方はお気軽にどうぞ、粒コーンです。
今日は面白そうだったので読んでみた本について紹介します。読み終わって気になったところをまとめたら結構な文章になった。ちなみに書籍は580ページくらい。
面白そうだったので読んでみた。
その名は「代替医療解剖」だ。Amazonレビューのこれを見て読んでみたくなった。
中古で300円くらい。送料いれて500円くらいだったかな。
鍼、ホメオパシー、カイロプラクテック、ハーブ等の民間療法の効果を真面目に検証した本。
ちなみに別に真面目に検証していなかった。内容はほぼ全て「科学的根拠は見られなかった」で結論付けられているだけで、データそのものの検証が殆ど行われていなかった。このレビュアーの人は本当に読んだのだろうか?
この時点でもう駄目だ
本を読んですぐにわかるが、これ学術論文によくある作り方をしている。
- 自分では研究せず
- 他人の研究を検索しまくって
- 結論を導き出す
私も恥ずかしながら大学院で研究に没頭し、学者になろうかと思っていた時期がある者である。論文なんて腐る程書いてきたし読み倒してきた。
これはアカンやつや
要は選んだ論文次第で結論が変わるやつである。そして、世界には「肯定派」より「否定派」の論文の方が高評価を受ける。それはもう「幸せニュース」より「他人の不幸ニュース」が視聴率を獲得できるのと同じ論理だ。
中古で買って良かったと思う。
あと、著者が「平等に判断する」と何度も繰り返し書いていたが文章を読めばすぐわかる。
アンタ、完全に医学寄りだろw
代替療法がいい感じにボロクソである。検証前の前置きで既にボロクソなので著者の心情が良く伝わってきた。
カイロプラクティックの矯正について
カイロプラクティックのアジャストについての記載があった。以下の3つのレベルはアジャストによって動かされる関節の柔軟性を3つに分類したものだそうだ。
- レベル1の柔軟性は関節を動かそうとして動かせる程度である
- レベル2の柔軟性は外から力を加えたときに動かせる程度
- レベル3では強い力をかけることによって、関節をその先まで動かす。
これを読んでカイロプラクティック志塾1回目の授業を思い出してほしい。ハッシーはこう言ったはずだ。わかりやすく上記の書籍中の言葉で表現しよう。

「レベル3までやるから事故が起こるんです。それはただの暴力です」
翻訳の問題なのか、著者の問題なのかはわからないが科学的検証をする前に、検証するべき対象をしっかり学んでいないのだ。こんな感じの本が世の中にはごまんとあるから気を付けよう。
余談だが親子の因縁についても記載があった
カイロを志した人間なら誰もが学んだであろう「パーマー親子の因縁」だが、かなりぶっこんだ内容になっていた。
パーマー・スクール・オブ・カイロプラクティックで父親の出所祝いが行われた際に祝賀パレードで父親を轢いてしまった。~中略~ 実は、これは事故ではなく、父親殺しだったとの見方もある。
「出所祝い」となっているが、僕が知っている限りでは息子の学校に「講演者」として招かれたという事だったけど。こういうところに著者の立ち位置が色濃く出てくるので要チェック。
代替医療を公平にジャッジする事を目指した本としているが、正直そういう風に感じ取れない翻訳文が多過ぎる。
ただ、パーマー親子が相当険悪だったのは間違いないとされる。
ニューロカロメーターもボロカス
BJパーマーが作ったニューロカロメーターもボロカスに叩かれていた。
これ、ボリ過ぎだろ
という話であるが、もうBJパーマーを拝金主義者にしたくて仕方がない様な文章で痛々しかった。確かにボリ過ぎだとは思うけど。そんなもん「医療用」と名付けられた商品なんてもっと酷いぞ(笑
サブラクセーションについて
サブラクセーションについてこんな記載があった。
サブラクセーションやイネイト・インテリジェンスはX線に映るような実在物ではない。
だそうだ。
この時点でもう著者はカイロに対して全く関心が無いのだろうとわかる。こんなもんである。取り敢えず教科書を読み直せという話。
面白い一文も見つけた
これは面白いなと思った一文があった。
医療においては、治療の有効性を示すことが最優先とされる。基礎となるメカニズムの解明は、のちの研究にゆだねればよいのだ
麻酔化学などが正にこれだと思うが、これって全然「EBM」じゃないよねって話。科学的に何1つわからん事に依存してるんだから。それとも医学における科学的って「再現性がある」って事であり、「何が起こっているのか」という生理的なプロセスは関心の埒外という事なのだろうか。
そうだとしたら「プロセス」を大事にする代替医療とは全く別のベクトルを向いているという話になる。
アイスマン・エッツィーの刺青と灸
エッツ谷で見つかったミイラ、エッツィーの身体に刻まれたタトゥー。それについてこの様な記載があった。
それらの入れ墨は、なにかを描写した絵ではなく、線と点をつないだようになっており、全体が十五のグループに分かれている様に見えた。~中略~入れ墨の点の80パーセントは今日の鍼で用いられる経穴に対応していた。

ネタ元:http://bit.ly/30xaX0Q
これが実際の図である。これで「これは経穴だ!この時代にも鍼灸があった!」という結論に辿り着くのは流石に僕には無理だった。15のグループというより15個の入れ墨だろう。
中国の外科手術と麻酔鍼について
これ、僕も何度か文献で見た事がありますが、基本的に「鍼麻酔の有効性」の前に「映像の信憑性」が未だに問われているそうです。
僕が見た文献では「合谷」に鍼を刺して麻酔無しでの外科手術という内容でしたが、この書籍で紹介されていたのは違う場所のツボでした。異なるツボで同じネタが世の中に出てるなら僕も映像の信憑性には問題がある様な気がするな。
12の経絡と365のツボについて
- 12の経絡は中国には12の大河が流れているから。
- 365のツボは1年が365日だから。
だそうです。これホント?
プラセボの条件が証明されていた
プラセボについて、随分昔に条件が証明されていた。
プラセボ3条件
- 医師の評判が高い事
- 治療費が高い事
- 治療法が目新しい事
これ、全部今の手技療法業界に当てはまる事だと気付きましたか?
- 「医師からの推薦」「医師も通う院」
- 短時間で高単価
- 当院オリジナルの〇〇療法!
要は主導権を握った者勝ちという事である。
ホーソン効果について
人は一般的に関心を持つ人や期待する人の心に応えようとする傾向があるとされる。
良く医療者と患者の関係性で患者が信頼している医療者の期待に応えようと行動したりふるまったりする、という理論は知っていた。
ここではホーソン工場の事が書いてあったが、それが面白い。
- 人工照明を増やしたり減らしたり
- 室内の温度を下げたり上げたり
要は「何が鍵かわからないから、手あたり次第やってみた」という取り組みの結果。。。。。。。
何やっても良い変化が出た
という事である。
これを環境の良い変化と労働者が受け止めた。という認識でまとめるのは簡単だが、環境の変化はやっぱり良い影響を与えるんだろうなという結論に僕は至った。
ベンチャー時代の社長も言っていたが「まず行動、そして変化を投げ込め!」は正しいと思う。
これは人間の健康にもあてはまる。とにかく日常に変化を投げ込むのだ。
ビタミンCと壊血病
壊血病の突破口が柑橘類で開けた事は有名だが、そこに「生の果物は良いが、濃縮したジュースではビタミンCが壊れて効果無しとなった」という内容があった。いわゆる「レモン・ロブ」である。
だがしかし、ビタミンと熱に関する検証は何処かの大学がしていて、フラスコに溶かしたビタミンCはブクブク沸騰させ続けても20時間近く加熱+攪拌を継続しなくては壊れない事が証明されている。そして壊れても半分程度は残っていた。ネタ元
果たしてレモンロブは何時間もの間、レモンを蒸発させて濃縮させたのか。そこが知りたい。だがデータは無い。
壊血病にはリンゴ果汁ですら効果が「僅かながら見られた」とのそうで、そうなると多少壊れたビタミンCであってもリンゴ果汁よりはよっぽど効果的な気がするが。。
ちなみにリンゴは100g中でビタミンCは4g程度。1日のビタミン所要量は100㎎。更には壊血病とはビタミンCの欠乏症である。
そしてレモンのビタミンCの含有量は
- 100mg/100g(果)
- 50mg/100g(果汁)
丸ごと100g食べればそれで十分。果汁なら200g分取ればOK。レモンですら果汁で50%減とするなら、果実100g中4㎎のリンゴはどうなる。果汁100gあたり2㎎なのか。それで僅かに効果があるとするなら、レモンロブは22時間以上過熱して撹拌していても効果は25倍となるぞ。「全く効果が見られなかった」はどういうことだ?
さぁ謎が謎を呼ぶぜ!
ビタミンネタがもう一つ
ちなみに、Amazonレビューではこんな記載もあった。
ビタミンB6は取りすぎると有害との情報もあるので21世紀の健康ヲタクは必読である。
これだが、書籍の中ではサプリメントの項目で紹介されていた。取り敢えず内容としては「まずは栄養を勉強して」なレベルだった。あと、ビタミンB6の有害性は「1日500㎎摂取すると有害」みたいな事が書いてあった。
- ビタミンB系は水溶性
- 上限摂取量が定まっていない
- 薬理量でも100㎎
冷静に考えてみると「ビタミンB6の過剰摂取は危ない、500㎎以上取っちゃ駄目」という話はどれだけ無茶かわかる。
今どき第三類医薬品でも1日100㎎である。適当に書いたんだろうが、知識不足が露呈するぞ。
何が言いたいかというと
こういう本を読んで「突っ込む事に価値がある」とは思わないが、冷静に読んでいて「これおかしいよね」とか「無茶苦茶やな」とか流しながら気付ける様に塾生にはなっておいて欲しいという事。
それくらい「立派に見える文章だけど、内容が何か稚拙だな」と感じるものも非常に多い。これはこの本に限らず。僕がこれを読んでまず感じたのは「全然公平じゃないな」という事。
- データが無い
- 科学的根拠が無い
- データの水準が低い
これで納得させようとしているのだが、どんなデータかが全くわからないので何とも言えない。あるのかどうかすらわからないのだ。これを読んで「そうだ!その通りだ!」なんて思うのは相当代替医療が嫌いな人だと思う。
要は出会う事は無いだろうが、この本を引き合いに代替医療を語る人間がいたとしたら「優しくしてあげよう」という事である。
最後に摂津/吹田/千里丘でヘルニアや坐骨神経痛でお困りの方はお気軽にどうぞ。