2021/4/11の資料
8期生基礎科の皆様は教科書の以下の範囲に目を通しておいて下さい。
【書籍名】解剖学ー第2版ー
第10章:運動器系:Ⅴ.下肢
1.下肢の筋:P265~
- ■1):下肢帯の筋
- 下肢の筋は筋腹の付着位置によって4分類される
- 1.下肢帯の筋(寛骨筋)
- 2.大腿の筋(下腿の筋)
- 3.下腿の筋
- 4.足の筋
- 下肢帯の筋は「寛骨筋/骨盤筋」とも呼ばれる。
- 基本的に骨盤から起こって大腿骨に付着する。
- 股関節の運動を担当する
- 支配神経は腰神経叢/仙骨神経叢からの枝
- 下肢帯筋は更に「内寛骨筋」と「外寛骨筋」に分類される
- (1)内寛骨筋
- 腸骨筋+大腰筋=腸腰筋
- 鼠経靭帯にある筋裂孔を通って大腿前面へと出る。
- 共通腱を作り大腿骨小転子に付着する。
- 機能的には1つの筋肉
- 股関節の最も強力な屈筋である
- 歩行時に大腿を挙上する
- 大殿筋と共に股関節の固定にも働き、歩行時体幹のバランス調整を受け持つ。
- 下腿が固定されていると体幹を引き起こす。
- 脊柱下部を引きこむ事でLの前弯を作る。
- 背筋を正す本命筋
- 脊柱下部を引きこむ事でLの前弯を作る。
- (2)外寛骨筋
- ①大殿筋
- 歩行時に重要な役割を果たす筋肉
- ヒトで特に著しく発達している筋肉
- 人体最大・最強の筋肉
- 股関節の伸展における主動筋
- 大腰筋と大殿筋は歩行における拮抗筋である
- 腸脛靭帯とは大腿筋膜の肥厚化したもの。
- 非常に強力な靭帯
- 頸骨の外側顆に付着する。
- 大殿筋は腸脛靭帯を緊張させる役割を持つ。
- 腸脛靭帯の緊張は膝関節の伸展を固定する
- 膝の完全伸展には大殿筋の参加が不可欠?
- ②中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋
- 股関節の外転筋
- 繊維は重なり合うが、方向はそれぞれ微妙に異なる。
- 兄弟に近いが役割が微妙に異なる。
- 着地側の小・中臀筋が骨盤を支える。
- 着地側に引き込む事で対側が持ち上がる
- (注)トレンデレンブルグ徴候は外転筋が働かない。
- 大腿筋膜張筋は腸脛靭帯に停止する。
- 膝関節の固定を助ける
- 大殿筋と拮抗して最強の外転作用を生み出す。
- ③梨状筋・内閉鎖筋・上双子筋・下双子筋・大腿方形筋
- 股関節の外旋作用を持つ
- 大腿骨頭を寛骨臼に押し付ける安定筋の役割も持つ
- ※安定筋の役割がメインとする意見もある
- ※股関節における「ローテーターカフ」的なもの
- ①大殿筋
- 下肢の筋は筋腹の付着位置によって4分類される
- ■2):大腿の筋
- 「大腿前面の伸筋群」「内側の内転筋群」「後面の屈筋群」の3群からなる。
- 伸筋群と屈筋群は大腿骨から起始、下腿骨に停止する。
- 主に下腿の運動を担う。
- 内転筋群は骨盤から起始、大腿骨に停止する。
- 支配神経
- 伸筋:大腿神経
- 屈筋:坐骨神経
- 内転筋:閉鎖神経
- (1)大腿前面の筋(伸筋群)
- ①縫工筋
- チカラは弱い
- 棘上筋と同じ「きっかけ筋」としての役割
- 屈曲外旋のきっかけを生む
- 「鵞足」の構成筋である。
- 薄筋・縫工筋・半腱様筋の3つ。
- ASIS・恥骨下肢・坐骨結節の3点から起始、脛骨粗面内側に停止する。
- 腸脛靭帯と鵞足3筋は骨盤の「下支え」と言われる
- ②大腿四頭筋
- 下肢における最大の筋肉
- 座位から立ち上がる時に強く緊張する
- 膝関節の伸展筋
- 直立歩行に必要な筋肉
- 特に階段を上がる際に強く収縮
- 踏み込み動作※坂道も同様
- 特に階段を上がる際に強く収縮
- 自然肢位での直立では機能を必要としない。
- 腸脛靭帯の緊張だけで十分。
- 膝カックンは上手に膝が抜けている人に成功する。
- 仕掛ける側の問題ではない。
- 膝蓋靭帯は大腿四頭筋の停止腱
- 大腿四頭筋の中の例外筋
- 大腿直筋のみ骨盤から起始する2関節筋である。
- 股関節の屈曲+膝の伸展に関わる。
- ボールを蹴る際の筋肉
- 膝を伸ばすキック
- ①縫工筋
- (2)大腿内面の筋(内転筋群)
- 内転筋群は主に股関節を内転する
- 大腿を互いに近付けていく。
- 直立位を維持・安定させる為の筋肉
- ヒトにおける発達が著しい筋肉
- (3)大腿後面の筋(屈筋群)
- ①大腿二頭筋
- 同じ停止部を持つ長頭・短頭からなる。
- 長頭:脛骨神経部の支配
- 短頭:総腓骨神経部の支配
- 同じ停止部を持つ長頭・短頭からなる。
- ②半腱様筋・半膜様筋
- 脛骨神経の支配
- 大腿二頭筋の短頭以外の3筋は2関節筋である
- 股関節と膝関節をまたぐ
- 股関節の伸展+膝関節の屈曲を担う
- 2つの関節に対して同時に力を発揮する事は無理である
- 大腿と下腿を固定すると、坐骨結節を経由して骨盤を後傾、体幹を伸展させる(腰上を立たせる)
- これは直立歩行に重要な役割である
- ハムストリングスの麻痺が起こると、股関節を伸展位に保てなくなり、体幹は前方へ屈曲、転倒する。
- 股関節の屈曲→ハムストの伸展。
- 股関節の屈曲中は膝が伸ばしにくい
- 股関節の屈曲でハムストのストレッチ(起始部)が掛かっている為
- 膝の伸展が加わるとハムストのストレッチ(停止部)が更に積み重なるから
- 股関節の屈曲でハムストのストレッチ(起始部)が掛かっている為
- 股関節の屈曲中は膝が伸ばしにくい
- ①大腿二頭筋
- ■3):下腿の筋
- 大腿骨または下腿骨から起こって足に至る筋肉
- 下腿前面の伸筋群
- 主に足関節の背屈(屈曲)と足指の伸展を担う
- 下腿後面の屈筋群
- 浅層/深層の2分類
- 足関節の底屈(伸展)と足指の屈曲を担う
- 外側にある腓骨筋群
- 足関節の底屈(伸展)と外反を担う
- (1)下腿前面の筋(伸筋群)
- ①前脛骨筋
- 足関節の背屈(屈曲)/内反を担う
- 足を固定する場合:下腿を前に傾ける
- 歩行時には背屈筋として重要
- 歩行時、足関節を背屈し足先(爪先)を地面に擦らない様にする。
- ※前脛骨筋麻痺の場合、足の下垂が起こる(下垂足)
- 足関節の背屈の代償として股関節屈曲が参加する。
- ②長母指伸筋
- ③長指伸筋
- ④第三腓骨筋
- ①前脛骨筋
- (2)下腿外側面の筋(腓骨筋群)
- (3)下腿後面の筋(屈筋群)
- ①下腿三頭筋
- 強大な筋肉で他の浅層筋を覆っている。
- 腓腹筋/ヒラメ筋から成る。
- 第二の心臓と呼ばれており、足元⇒心臓への血流を主に担当している
- 腓腹筋は2関節筋(足関節+膝関節)
- ヒラメ筋は1関節筋(足関節)
- アキレス腱(踵骨腱)は共通腱で踵骨に付着
- アキレス腱は体内で最も強大な腱
- 膝関節と足関節に同時に強い働きかけはできない。
- 膝を屈曲している時、腓腹筋は十分に働けない
- 注)下腿三頭筋の拘縮は足関節の底屈位の固定を生む(尖足)
- 足が背屈位に固定される(踵足)※滅多にお目に掛からない
- アキレス腱はスポーツ外傷で良く見る
- ②足底筋
- 欠如する事がある筋肉。その力は極めて小さい
- ③膝窩筋
- 膝関節の屈曲、脛骨の内旋を伴う。
- 伸展した膝関節を屈曲させるには「内旋」がきっかけとして必要となる。
- その脛骨内旋を作り出すのが膝窩筋である
- ④後脛骨筋・長指屈筋・長母指屈筋
- 長母指屈筋は母子を屈曲させる
- 長指屈筋は第2~5指を屈曲させる
- ①下腿三頭筋
- ■4):足の筋
- (1)足背筋
- (2)母指球筋
- (3)小指球筋
- (4)中足筋
2.下肢の運動 P282~
- (1)股関節の運動
- 屈曲/伸展/内転/外転
- 内旋/外旋とは大腿骨の長軸(大腿骨頭から膝関節中央に下ろした垂線)に下肢を回旋する運動である
- 伸展は股関節周囲の3靭帯(腸骨大腿・坐骨大腿・恥骨大腿)によって制限を受けている。
- 可動域は伸展<屈曲
- 内旋に関しては専用筋が存在しない。
- 外旋に関しては専用筋が存在するので、内旋<外旋と考えられる。
- 屈曲:腸腰筋+大腿直筋+縫工筋
- 伸展:大殿筋+ハムストリングス
- 内転:大腿の内転筋群
- 外転:中・小殿筋
- 外旋:外旋6筋(梨状筋、閉鎖筋など)
- 内旋:中・小殿筋+大腿筋膜張筋
- (注)直立状態において股関節は既に伸展された状態にある。つまり股関節の靭帯は直立位では過伸展が掛かり緊張する。屈曲で緩む。
- (2)膝関節の運動
- 主な運動は屈曲/伸展
- 可動域は屈曲<伸展である
- 過伸展は関節内外の靭帯によって制限を受ける。
- 当然。屈曲位では膝関節の靭帯群が緩む
- ⇒下腿長軸を運動軸にした回旋運動が可能になる。
- 屈曲:大腿の屈筋群(ハムストリングス)+腓腹筋+縫工筋+膝窩筋
- 伸展:大腿四頭筋+大殿筋と大腿筋膜張筋による腸脛靭帯の牽引補助
- 内旋:半腱様筋+半膜様筋+薄筋+縫工筋+膝窩筋(膝関節の屈曲時)
- 外旋:大腿二頭筋+補助的に大腿筋膜張筋(膝関節の屈曲時)
- 主な運動は屈曲/伸展
- (3)足部の関節運動
- 背屈:前脛骨筋
- 底屈:下腿三頭筋
- (4)足指の運動
- 足の母指球には母子対立筋が無いので母子対立が起こらない。
- 足は親指と人差し指で物を挟む事が苦手。
- 指の内転と外転については手では第3指を中心に動くが、足は第2指を中心に運動する。
- 足の母指球には母子対立筋が無いので母子対立が起こらない。
3.下肢の局所解剖 P284~
- ■1):大腿前面
- (1)筋裂孔と血管裂孔
- (2)大腿三角(スカルパ三角)
- (3)内転筋管
- ■2):臀部
- (1)臀部の体表
- (2)大坐骨孔
- (3)小坐骨孔
- ■3):膝窩
- ■4):下腿の筋区画(コンパートメント)
- ■5):足部
- 足底の皮膚は手掌と同じく無毛で脂腺が無い。
4.下肢の脈管 P287~
- ■1):下肢の動脈
- ①大腿動脈
- ②膝窩動脈
- ③前頸骨動脈
- ④後脛骨動脈
- ■2):下肢の静脈
- ①大伏在静脈
- ②小伏在静脈
- ■3):リンパ
5.下肢の神経 P290~
- (1)腰神経叢(T12-L4)
- ①腸骨下腹神経(T12/L1)
- ④外側大腿皮神経(L2/3)
- 大腿外側部に出る神経
- ⑤大腿神経(L2-4)
- L2-4が合流してできる腰神経叢最大の枝
- 伏在神経は下腿内面と足背内側の感覚を担う
- ⑥閉鎖神経(L2-4)
- L2-4が合流して構成される。
- 外閉鎖筋~内転筋群を支配している
- (2)仙骨神経叢(L4-S4)
- ①上殿神経(L4-S1)
- 小殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋支配
- ②下殿神経(L5-S2)
- 大殿筋支配
- ③後大腿皮神経(S1-3)
- ④坐骨神経(L4-S3)
- L4-S3に由来する靭帯で最大の神経である。
- 1本の神経ではなく神経叢で2本の神経から構成される。
- 膝窩上方で2本に分岐する。
- i:総腓骨神経
- 大腿後面では脛骨神経の外側に位置する
- 大腿二頭筋短頭に枝を与える
- 下腿に入る際に2枝に分かれる
- ii:脛骨神経
- 大腿後面では総腓骨神経の内側に位置する
- 半腱・半膜・大腿二頭筋長頭に枝を送る
- 膝窩中央を下降し下腿後面に至る
- 注:坐骨神経
- L4-S3に由来する靭帯で最大の神経である。
- ①上殿神経(L4-S1)
第10章:運動器系:Ⅵ.頭頚部
1.頭頚部の筋 P297~
- ■1):頭部の筋
- (1)表情筋
- 頭頚部の皮下には皮膚に停止する薄い筋が多数ある。
- 大多数は頭蓋骨から起こるが皮膚や靭帯から起始するものもある。
- 収縮によって顔面の皮膚を動かす事で凹みや皺を寄せ表情を生み出すから表情筋である。
- 本来は目・耳・鼻・口等の開口部の開閉の為に発達したものである
- つまり「表情筋は表情を作る為の筋肉ではない」という事。
- 支配神経は「顔面神経」である
- ①前頭筋
- 額(デコ)の皮下にある筋肉で眉を引き上げ額に横皺をつくる。
- 頭頂部を覆う帽状腱膜を介して後頭筋と連続している
- 額(デコ)の皮下にある筋肉で眉を引き上げ額に横皺をつくる。
- ②眼輪筋
- 瞼(まぶた)の皮下にある筋肉で目を閉じる役割を持つ。
- 目を開くのは外眼筋の1つ「上眼瞼挙筋」の働きである
- ③鼻筋
- 外鼻孔を広げる筋肉
- ④口輪筋
- 口を閉じる唯一の筋肉。
- 口を開く、口唇の形を変える筋肉は10種類以上ある。
- ⑤頬筋
- 頬壁を歯列に向かって圧しつける筋肉。
- 舌と協力して食物塊が上下の歯の間に入りやすくする。
- 頬筋が麻痺すると歯列の間に食物が溜まりやすくなる。
- 外→内への押出しが働かない。
- ⑥耳周辺の筋肉
- ヒトでは退化
- いぬ・猫が耳(耳介)を動かすのはこれらの筋肉の役割
- 注:顔面神経麻痺
- 表情がなくなるだけではない。
- 目を閉じる事ができない、口を閉じる事ができない。口を丸める事ができない。等が生じる。
- (2)咀嚼筋
- 頭蓋の側面~底面から起始、下顎骨に停止する4対の筋肉。
- 顎関節の運動、つまりは咀嚼を行う。
- 支配神経は三叉神経の第3枝(下顎神経)
- 注:咀嚼運動
- 顎関節は中に関節円板を有する関節。1つの骨が2カ所で頭蓋に繋がる。
- 頭蓋の側面~底面から起始、下顎骨に停止する4対の筋肉。
- (1)表情筋
- ■2):頸部の筋
- 可動域が広く大きい部位
- 環椎後頭関節と環軸関節は特に可動性が大きい。
- この動きに関わる筋群は脊柱の背面に着く
- 固有背筋、椎前筋群、斜角筋、胸鎖乳突筋等がある
- (1)広頚筋
- 口角を下方へ引き下げる
- (2)胸鎖乳突筋
- 側頭骨乳様突起に停止する強力な筋肉
- 前屈>後屈の力関係
- (3)舌骨上筋群
- (4)舌骨舌筋群
- (5)斜角筋
- (6)椎前筋
- (7)項部の筋
- 可動域が広く大きい部位
2.頭頚部の体表および局所解剖 P302~
P316:図10-157のみ