カパンジー機能解剖学Ⅱ【第2章】:膝関節 中編

P88-89:屈曲ー伸展時における脛骨関節窩に対する大腿骨顆部の運動

  • 大腿骨顆は脛骨関節窩に対して同時に転がり滑る
  • これによって160°の最大屈曲を得ながら大腿骨顆の後方脱臼が回避される
  • 滑りと転がりの割合は変化する
    • 最大伸展→屈曲からの流れ
      • 1.転がるのみ
      • 2.転がり(強)+滑り(弱)が開始
      • 3.滑り(強)+転がり(弱)に移行する
  • 屈曲の始まりにおける純粋な転がりの長さについて
    • 内側顆:屈曲の最初10~15°までしか起こらない
    • 外側顆:屈曲の20°まで続く
  • つまり、外側顆の転がりの方が大きい
    • 脛骨関節窩上を走行する外側顆の行程が内側顆の行程より長く、自動回旋に繋がる。
  • 正常歩行の屈曲ー伸展運動の可動域は15~10°となっている。

P90-91:長軸回旋時における脛骨関節窩に対する大腿骨顆部の運動

  • 膝が中等度屈曲している時、顆部の後方部分が脛骨関節窩の中央部分に接触し始める
  • 大腿骨に対して脛骨が外旋する時
    • 大腿骨外側顆は脛骨外側関節窩を前進する一方、大腿骨内側顆は脛骨内側関節窩内を後退する
  • 大腿骨に対して脛骨が内旋する時
    • 大腿骨外側顆は関節窩内を後退する一方、内側顆は関節窩内を前進する
  • 内側顆・外側顆で起こる前後運動は同じではない。
  • 大腿骨内側顆は前後・内外方に凹である脛骨内側関節窩において少なく移動する
  • 大腿骨外側顆は前後・内外法に凸である脛骨外側関節窩を内側顆の2倍移動する。
  • 膝関節の長軸回旋の「真の軸」は内側顆間隆起の関節斜面のレベルを通過している。

P92-93:膝の関節包

  • サラッと流すで良い

P94-95:膝蓋下脂肪体、滑膜ひだ、関節関腔の容積

  • 後回しで良い
  • 膝に水が溜まるメカニズム

P96-97:関節内の半月

  • 関節面の不適合は半月の介在によって補われている
  • 平面に置かれた球体の隙間を埋めるもの
  • 半月の付着部
    • 半月は関節包に直接付着している。
    • 半月は顆間隆起前面と後面にそれぞれ付着している
    • 前角同士は半月結合靭帯によって繋がっている
    • 膝蓋下脂肪体の索状組織によって膝蓋骨にも繋がっている
    • 膝蓋骨とも半月は繋がっている
    • 内側側腹靭帯は内側半月の内縁に付着している
    • 外側側腹靭帯は膝窩筋腱の存在によって半月から分離されている
    • 半膜様筋腱は内側半月の後縁に付着している
    • 前十字靭帯は内側半月の前角に付着
    • 後十字靭帯とは別の繊維が半月後角に付着

P98-99:屈曲ー伸展時の半月の移動

  • 大腿骨顆と脛骨関節窩の接点の動き
    • 膝関節の屈曲時に関節窩上を後退する
    • 膝関節の伸展時に関節窩上を前進する
  • 膝関節の伸展位では関節窩後方部分、特に外側関節窩がむき出しになる。
  • 膝関節の屈曲位では関節窩前方部分がむき出しになり、外側関節窩が特に後方斜面を下降する
  • 内側半月の移動距離は6㎜、外側半月の移動距離は12㎜である
  • 半月は移動・変形を起こす
  • 半月は弾性パッキンとして大腿骨と脛骨間の圧迫応力を伝達する役割を持つ。
  • 屈曲時、半月は大腿骨との接触を部分的に失う
    • 膝屈曲時の特徴である「側腹靭帯の弛緩」と「半月の部分的離脱」は安定性を犠牲にした運動性の確保のメカニズム
  • 半月の可動性因子
    • 他動性因子は「大腿骨顆」のみで半月を押し出す
    • 能動的因子は複数ある
      • 伸展時は半月は「半月ー膝蓋支帯」によって前方へ引っ張られる
      • 半月結合靭帯もまた前方へ引っ張られる
      • 外側半月の後角は後十字靭帯の緊張と共に「半月ー大腿靭帯」の緊張によって前方へ引き戻される

P100-101:長軸回旋時の半月の移動、半月病変

  • 長軸回旋の運動時、半月は脛骨関節窩に対する大腿骨顆の移動に忠実に追随する。
    • 半月は脛骨ではなく大腿骨顆に追随する
    • だから回旋時に半月は脛骨とは反対の方向(大腿骨の剪断応力側)へ動くのである。
  • 脛骨外旋時
    • 外側半月は外側関節窩の前方へ引っ張られる
    • 内側半月は内側関節窩の後方へ引っ張られる
  • 脛骨内旋時
    • 外側半月は外側関節窩の後方へ引っ張られる
    • 内側半月は内側関節窩の前方へ引っ張られる
  • 半月の移動は「前角」「後角」の付着部の周囲を変形しながら移動する。
    • 外側半月の移動距離は内側半月の2倍となる
  • 膝の長軸回旋時の半月の移動は主に大腿骨に引っ張られる「他動的」なもの。
  • 「能動的」なものとしては脛骨に対する膝蓋骨の転位から起こる「半月ー膝蓋支帯」の緊張は半月を前方へ引っ張り出す。
  • 膝の運動中、半月が大腿骨顆に追随しない時、損傷のリスクが高まる
    • 半月は異常な位置で「不意を突かれ」「板挟み」となる為である
      • ボールを足で蹴る等の急激な伸展運動がそれにあたる。
      • 半月の一部が前方へ戻る前に大腿骨が前方へ転位すると半月は大腿骨顆と関節窩の間に挟み込まれる。

もう一つの半月損傷

  • 外反と外旋の2運動を伴った膝の捻転である
  • 突出する内側半月が戻れず、大腿骨顆と関節窩に挟み込まれる
    • サッカー選手の膝屈曲からの転倒
    • 炭鉱夫がしゃがみながらの労働を強いられる時に見られる。

十字靭帯断裂後に続発するケース

  • 前十字靭帯の断裂後に後方に制限を受けない大腿骨内側顆が内側半月の後角を圧し潰す。
  • 後方関節包の断裂まで広がる場合も
  • 半月が1つ断裂した時点で断裂部位は正常な働き・動きは不可能となりロックする。
    • 大腿骨顆と関節窩の間で挟まりロックを起こす
    • 膝は屈曲位でロックされ、伸展ができない。

P102-103:大腿骨に対する膝蓋骨の移動

  • 膝の伸展装置は滑車状の構造をしている
    • その結果、本来は上方外方から下方内方へ向かう大腿四頭筋の力が厳密に垂直の力へと変換される
    • 屈曲時の大腿骨に対する膝蓋骨の正常運動とは顆間切痕までの垂直移動のみである
  • 膝蓋骨は横軸の周りを回転しながら長さの2倍移動する。※8㎝
    • 膝の伸展位:膝蓋骨後面はまっすぐ後方へ向く
    • 膝の最大屈曲位:大腿骨の下に位置し、まっすぐ上を向く。
  • 膝蓋骨の動きは膝蓋骨が十分な長さの結合で大腿骨と繋がっている必要がある
    • 膝蓋骨の周りには3つの深い盲嚢が存在している。
      • 大腿四頭筋嚢
      • 膝蓋側嚢×2
    • 実際に膝蓋骨が移動する時はこの3つの盲嚢が伸びる。
    • つまり、膝蓋骨の移動を実現するのは3つの盲嚢の伸びなのである。
  • 炎症によって盲嚢が癒着を起こした時、膝蓋骨は可動の自由度を奪われ大腿骨に密着する。
    • 感染症・外傷後の膝伸展位拘縮の1因である。
  • 通常、膝蓋骨は上下にしか動かず、左右には移動しない。
    • 膝蓋骨は大腿四頭筋によって切痕へ極めて強く押し付けられているからである。
    • この大腿四頭筋の押し付けは膝の屈曲が増加する程に強くなる
    • この押し付け力は膝の伸展終わりから弱まり、過伸展では逆転現象が起こる。つまり、膝蓋骨が滑車から解放され、外方へと追い出される形となるのだ。
    • 外開きの理由は大腿四頭筋の角度にある。本来は外方から内方に向けて下降している為。
      • ※滑車は外方脱臼を防ぐ為、内側より外側の方が深くできている。

P104-105:大腿骨と膝蓋骨の関係

  • 膝蓋骨の後面は極めて厚い軟骨に覆われており、特に中央部にその傾向が見られる
    • 階段の下降時、しゃがんだ位置からの立ち上がりなど、膝屈曲位からの大腿四頭筋が収縮する歳の押し付け圧「300㎏」に対応する構造である。
  • 膝屈曲と膝蓋骨の軟骨の関係
    • 完全伸展位:膝蓋骨下方部分が接触
    • 屈曲30°:膝蓋骨中央部が接触
    • 完全屈曲位:膝蓋骨の上方部分+上外側関節面での接触となる

P106-107:脛骨に対する膝蓋骨の移動

  • 膝蓋骨は脛骨に密着していると考えられる
  • 余り参考にならない

P108-109:膝の側副靭帯

  • 膝関節の安定性は強力な靭帯、十字靭帯と側副靭帯に依存している

側副靭帯

  • 膝関節の内側と外側の関節包を補強している
  • これらは膝伸展位の側方安定性を確保している
  • 内側側副靭帯は大腿骨頭内側顆の内側面から脛骨上端へ広がる
    • 近位付着部は大腿骨・内側面の後上方部分
    • 遠位付着部は脛骨の内側面上で鵞足付着部位の後方に位置する
    • 下前方へと斜走しており、矢状面では外側側副靭帯と交差している
  • 外側側副靭帯は大腿骨外側顆の外側面から腓骨頭へと張っている
    • 近位付着面は外側顆部の中心線(yy’)の後上方に位置している
    • 遠位付着部は腓骨頭の前外側面上で大腿二頭筋付着部の下方となる。
    • 外側側副靭帯は全ての行程で関節包からは区別される
    • 外側側副靭帯は下方後方に斜走しており、矢状面では内側側副靭帯と交差してい
  • 膝蓋大腿支帯
  • 半月ー膝蓋支帯
  • 側副靭帯は膝関節の伸展時に緊張する
    • 大腿四頭筋による膝蓋の押し付けが緩み、膝蓋骨が外側へ押し出される
  • 側副靭帯は屈曲時に弛緩する
  • 側副靭帯の弛緩角度は膝関節30°である。
    • 膝関節30°は側副靭帯縫合後の固定肢位でもある

P110-111:膝の側方安定性

  • 膝は側方から大きな応力を受けている。
  • 大腿骨から脛骨近位端へかかる力Fは厳密には垂直ではない
    • 垂直の力と水平内側に向かう横の力に分解される
    • 横の力は内側関節裂隙(れつげき)の角aを開大させ外反を増強させる
    • 対脱臼のメカニズムは内側側副靭帯の役目となる
  • 自動車の衝突事故の際
    • 外傷が膝の内面へ加わった場合
      •  生理的外反は矯正される方向へ
      • 脛骨内側部の分裂骨折が起こる※外力の吸収
      • 外力が依然として残る場合、外側側腹靭帯の断裂が生じる※第二の外力吸収
    • 外傷が膝の外側面へ加わった時
      • 大腿骨外側顆は軽度内側へ移動する
      • 続いて外側関節窩へ陥入し、脛骨の外側骨皮質を骨折させる

P112-113:膝の側方安定性(続き)

  • 膝は常に側方からの応力を受けている
    • 不安定な関節である
  • 支持側の膝の内側が不均衡になった場合
    • 生理的外反が増強する
    • 内側関節裂隙が開大する傾向になる
    • 応力が極めて大きい場合は内側側副靭帯(LLI)は断裂する
    • これが重度の捻挫である
  • 重篤な捻挫とは単なる不均衡肢位から起こるのではなく、激しい衝撃が必要となる。
  • 支持側の膝の外側が不均衡になった場合
    • 生理的外反を立て直す傾向になる
    • 激しい外力が膝の内側面に加わると外側側振靭帯(LLE)は断裂する
  • 膝の重度の捻挫の場合、前後軸の周りで明らかな側方の動揺性を確認できる。
    • 検査は膝完全伸展位と軽度屈曲位で行う。
  • 膝完全伸展位は過伸展位といえる。
  • 膝10°屈曲位での検査はLLE.LLIの単独損傷と解釈できる。
    • 屈曲初期段階で大腿骨顆殻は弛緩しているからである。
    • 外反ストレスで内側関節列隙を開大させる
    • 内反ストレスで外側関節列隙を開大させる
  • 有痛性の膝で有効な検査に適した完全な筋弛緩を得るのは困難である
    • 全身麻酔で再検査すべき→無茶言うな
  • 膝の重度の捻挫は関節窩の安定性を障害する。
    • 実際、1つの側副靭帯の断裂は持続的に作用する側方応力に抵抗しえない。
    • 歩く・走るだけでもかなりの側方応力が生じており1つの側副靭帯だけでは耐えられない。
  • 膝の安定性を確保するのは側副靭帯だけではない。
    • 実際は側副靭帯には筋肉によるサポートを受けて「真の能動的靭帯」を形成している
  • LLE
    • 大腿筋膜張筋によって緊張する靭帯によって強力に補助される
      • 腸脛靭帯である
  • LLI
    • 鵞足筋による補助
      • 縫工筋
      • 半腱膜様筋
      • 薄筋
  • つまり側副靭帯は「腱」による裏打ちによって安定感を増している。
  • 更に強力ではないが大腿四頭筋による更なる「裏打ち」がなされる。
    • 強力では無いが4頭筋ならではの交差する腱膜は左右互いの関節列隙の開大を阻止する。

P114-115:膝の前後の安定性

  • 膝の安定性は過伸展・軽度屈曲で全く異なる
    • 要は肢位によって変化するという事
  • ごく軽度屈曲の膝
    • 荷重線は膝の屈強―伸展の軸の後方を通る
    • つまり、大腿四頭筋の静的収縮が介入しない限りは屈曲は増加傾向になる
    • 従って、この軽度屈曲肢位では大腿四頭筋は立位保持に不可欠である
  • 過伸展の膝
    • 過伸展を増強しようとする傾向は後方の関節包ー靭帯要素によって即座にブロックする
    • 立位は大腿四頭筋の介入が無くても維持される=施錠効果
    • 大腿四頭筋麻痺の患者は立位保持・歩行の際に膝の反張を増強している
      • 施錠効果によって伸展を維持している
  • 膝が過伸展の時
    • 大腿の軸は後方下方に斜めである。
    • 生じた力は2つに分解される
      • 1.下腿へ体重を伝える垂直軸
      • 2.過伸展を増幅する水平方向への力
    • 過大な膝の反張は靭帯の弛緩によって終息し、膝の反張角度の悪化を招く
    • 肘の肘頭の様に強固な制動ではないものの、膝の過伸展の制限メカニズムは極めて有効である。
    • 図2-160ですら耐えれるなら肘は何処まで耐えれるのか?そして相方はどっちだ?
      • 図2-160の過伸展ブロックは関節包ー靭帯要素と副次的に筋要素に依存している。
      • ※関節包ー靭帯要素には側副靭帯と後十字靭帯が含まれている
  • 関節包の後方部分は強力な繊維成分によって補強されている。
    • 左右両大腿骨顆に対応しており関節包の肥厚が顆殻1を形成しており、その後面には腓腹筋の繊維が付着している。
  • 外側では腓骨頭から繊維性の膝窩弓状靭帯が広がっている。※2つの繊維束が確認できる
  • 内側では関節包繊維層は半膜様筋腱の外側縁から起こった反回繊維束によって構成される膝窩斜走靭帯によって補強される。
    • 腱から靭帯がそのまま伸びているという事か。
  • 全ての後方繊維層は過伸展時に緊張する。
    • 伸展は外側側副靭帯・内側側副靭帯を緊張させる。
    • 後十字靭帯も膝関節の伸展時に緊張する。
    • 研究によっては前十字靭帯が最も緊張するとも。
  • 大腿骨内側顆の後方を走行する鵞足筋(薄筋・半腱様筋・縫工筋)や大腿二頭筋などの屈筋は膝伸展の能動的制御因子といえる。
  • また腓腹筋も足関節の背屈によって緊張する範囲では能動的制御因子となる

P116-117:膝周辺の防御機構

  • 膝関節周辺の防御要素は3つ
      • 内側側副靭帯:破綻応力115㎏/㎠ 破綻変形12.5%
      • 外側側腹靭帯:破綻応力276kg/㎠ 破綻変形19%
      • 後方の関節包ー繊維層
        • 内側顆殻/外側顆殻/斜膝窩靭帯/弓状膝窩靭帯から成る
      • 外側は内側に比べて抵抗性・弾力性ともにある。
  • 副次的構成帯は抵抗性・重要性も様々な4つの繊維ー腱層からなる
  • 関節周囲筋
    • 膝周辺の防御に参加する
    • 大脳皮質による拘束を予測し、運動図式の中で完璧にシンクロナイズした収縮によって「他動的にしか作用できな靭帯」の補助として関節の不均等に抵抗する。
    • 最も重要なものは大腿四頭筋でこれが無くては「いかなる膝の安定性」も得る事ができない。
    • 大腿四頭筋の強度と正確な協調性によって靭帯の不全をある程度補う事が可能。
    • 廃用性萎縮が早く、回復が困難でもある。
      • ※恐らく大殿筋も同様
      • 運動の主要筋ゆえに廃用性の対象に真っ先に上がる

投稿者プロフィール

Toshio Nakamura
Toshio Nakamura志塾歴は5年目
大阪府吹田市で「トシオとイクミの俊カイロプラクティック院」をしています。男塾の大豪院邪鬼と同じく「卒業せずに居座る塾生」です