P66-67:膝関節
- 下肢中間関節
- 原則として自由度1の関節
- 屈曲ー伸展によって下肢の先端を付け根に近付けたり遠ざけたりする
- 地面に対する身体の距離を制御する事ができる
- 膝は基本的に体重によって圧迫力が掛かった状態で作動する関節
- 副次的なお話
- 膝関節は2つの自由度を持っている
- 膝が屈曲している時のみ現れる、下肢の長軸に沿った回旋運動である
- 膝は困難に挑戦する関節、2つの矛盾する機能を両立させる必要がある
- 完全伸展位の時、大きな安定性を持つ。一方で体重とてこのアームの長さによって大きな応力を受ける
- 屈曲位において大きな可動性を持つ。つまり、走ったり、地面の不整に対する足の適正な方向決定に要する可動性を持つ。
- 【大前提】膝は大きな可動性を必要とする為の関節面のはめ込みの弱さを抱えており、捻挫・脱臼のリスクを抱えている。
- 膝が靭帯や半月損傷のリスクを最大に抱え込むのは屈曲位である。
- 膝が関節内骨折や靭帯損傷を受けるリスクを最大に抱え込むのは伸展位である。
P68-69:膝関節の軸
第一の自由度
- 横断軸XX’に条件づけられており、矢状面に沿って屈伸運動が起こる
- 大腿骨頸部の分だけ、大腿骨骨幹部の長軸は脛骨長軸の延長線上からズレる。
- 下腿長軸の延長線から6度外角へずれており、それを「生理的外反」と呼ぶ
- 一方で「股関節」「膝関節」「足関節」の3つの関節中心はしっかり同一直線上に位置している。
- これが「下肢機能軸」と呼ばれる軸線である
- 脛骨まではこの機能軸と骨格の軸線が一致している
- 大腿骨では6度の外ズレ※生理的外反
- 股関節と足関節の場合、股関節が外側に位置する
- その為、下腿の機能軸は下内方に走り、垂直線に対して3度の外開きとなる。
- この開きは骨盤の広さに依存するので女性の方が角度は広くなる
- つまり女性の方が生理的外反は強く出るのは構造的な問題なのである
- XX’と大腿軸・XX’と脛骨軸との角度はズレがある
- 膝関節の完全屈曲時には下腿は必ず大腿の内側へ入る。
- 踵は坐骨結節へ接触する
- 爪先は対側臀部へ
第二の自由度
- 下腿長軸YY’の回旋にあある
- 明らかな膝の屈曲時のみに限られる運動
- 膝の構造は完全伸展位では回旋を不可能とする
- 完全伸展位では下腿軸は下肢機能軸と一致し、一体化。下肢一体骨として運動中心が股関節となる。
第三の自由度
- ZZ’軸による自由度
- 膝屈曲時に限定される
- 側腹靭帯の緩みによって生じる僅かな側方運動
- 完全伸展位では側腹靭帯は緊張するので、側方運動は完全消失する
- あったら損傷を疑え
- 膝の僅かな屈曲でも側方運動は生じる。
P70-71:膝の側方偏位
- 外反角に関わる要素は2つ
- 1.性別
- 2.病的なもの
- 外反角の逆転によって内反膝を形成「ガニ股」となる。
- ミクリッツ線を前提に考えた方がいい
- 下肢機能軸は膝関節の中心を考慮する為
- ミクリッツ線から考えて
- 膝蓋骨が線から外側:O脚
- 膝蓋骨が線から内側:X脚
- O脚・X脚は基本的には両側性
- 同側性は非常に稀なケースだが、それを生み出したのは「瞬〇」か?
- 内反膝は内側コンパートメントへ荷重がかかる
- 外反膝は外側コンパートメントへ荷重がかかる
- 両側外反膝は幼児において極めて多く、成長と共に徐々に改善してくる
P72-73:屈曲ー伸展運動
- 屈曲ー伸展は膝関節の主要な運動である
- 伸展:下腿後面を大腿後面から遠ざける運動である
- 絶対的伸展は存在しない。何故なら、基本肢位において下肢は既に最大伸展となっている為。
- 他動的な伸展は「過伸展(5~10°程度)」
- 自動伸展
- 基本肢位を超える事は稀である。超えたとしてもわずかとなる。
- 股関節の肢位に依存しており、股関節伸展である程にその可能性は大きくなる。
- 股関節の伸展とは膝伸展への準備段階と言える
- 相対的伸展
- 全ての屈曲位から膝の伸展を完了する運動。
- 通常歩行時に起き、遊脚が地面に接触しようとして前方へ投げ出される運動である
- 全ての屈曲位から膝の伸展を完了する運動。
- 屈曲とは下腿後面を大腿後面に近付ける運動である
- 基本肢位からスタートする絶対的屈曲
- 全ての屈曲位からスタートする相対的屈曲がある
- 膝の屈曲角度は股関節の肢位や膝自体の運動様式によって異なる
- 自動屈曲
- 基本肢位から考えて、股関節が屈曲している場合140°に達する
- 股関節が伸展している場合は120°止まりである
- この可動域の差は股関節伸展時のハムストリングスの効力が減少する事で生まれる
- ハムストリングスの弾道的収縮を利用するなら股関節伸展でも120°を超える。
- 弾道的収縮=バリスティック
- 他動屈曲
- 他動屈曲は160°に達し、踵を臀部に接触させることができる。
- 膝の他動屈曲の可動域検査に使える。
- 正常であれば踵は臀筋に接触するまで制限を受けない
- 病的状態では膝の伸展機構に制限される=大腿四頭筋or関節包
P74-75:膝の軸回旋
- 下腿の長軸の周りの回旋運動は膝屈曲時のみに起こる。
- 膝伸展時では関節の連結が脛骨を大腿骨に固定する
- 自動軸回旋の測定
- 膝を90°に曲げて座らせる必要がある
- 膝の屈曲において股関節の回旋を除外する※除外できる?
- 基本肢位において足の先端は軽度外方を向く
- 内旋
- 足先を内方へ向ける動作で、内転運動に関係する
- 30°
- 外旋
- 足先を外方へ向ける動作で、外転運動に関係する
- 40°
- 膝の外旋・内旋は膝の屈曲角度に左右される。
- 膝の屈曲30°:外旋32°
- 膝の屈曲90°:外旋40°
- 他動回旋足底
- 伏臥位+膝を直角に曲げて行う
- 足首を内旋・外旋
- 不可避・不随意の自動軸回旋が存在している。
- 膝の屈伸運動と共に起こるもの
- 伸展の終期+屈曲の初期に起こる
- 伸展:外旋方向へ
- 屈曲:内旋方向へ
P76-77:下肢の全体構造と関節の方向性
- 大腿骨と脛骨の湾曲の意味
- 筋肉のハマるスペースを作る。いわゆる「筋肉の収納庫」としての隙間スペース
P78-79:下肢の全体構造と関節の方向性(続き)
- 大腿骨頸部は前額面と30°の角度を成す
- 頸部軸を前額面にとどめる為には大腿骨頸部の内旋30°を必要とする。
膝レベルの捻転
- 大腿骨顆部と脛骨の軸は平行かつ前額面に含まれる
- 実際は自動軸回旋が完全伸展位で大腿骨に対して+5°の脛骨外旋をもたらす
脛骨レベルの捻転
- 脛骨と距腿関節窩は軸平行ではあなく25°の外旋をきたしている
- つまり平行を得るには25°の脛骨内旋が必要
捻転の結果
- 下肢全長の捻転は「-30+25+5=0」と相殺関係になる
- 結果的に脛骨足根関節の軸は、大腿骨頸部同様に外旋+30°となる
- 歩行時
- 立位では両踵が骨盤と対称的に連結している
- 歩行時、遊脚肢前進は同側の股関節を前方へと移動させる
- 骨盤が30°回旋すると足の軸は直接前方、進行方向を向く。
P80-81:屈曲ー伸展の関節面
- サラッと流すでいい
P82-83:軸回旋に対応した脛骨関節面
- 膝の関節面は基本「屈曲ー伸展」運動しか許容しない構造
- 実際は軸回旋を可能にするギミックもある※図2-44~46の流れ
- 中央軸の存在とそれを支える十字靭帯と側腹靭帯
P84-85:大腿骨顆と脛骨関節窩の輪郭
- 大腿骨顆粒は2方向に凸で2つの突出部を形成している
- 両顆は対象構造ではなく軸も平行ではない。後方に向かって開いている
- 大腿骨顆を受け止める脛骨関節窩は曲率半径が等しくない。つまり関節面の不一致が生じている
- 膝関節は適合していない関節といえ、半月がその再建にあたっている
P86-87:顆部ー滑車側面の決定論
- 幾何学的に厳密には1つとして同じものではない膝の「個別性」が証明される
- 人工関節の個別適応が難しい理由は「オンリーワン」の為。近似適応が限界なのである
- 十字靭帯の長さが一定であるという前提であるが、証明されている訳では無い。
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